1.酒米
秋が深まりつつある頃、 吉野酒造の米蔵には各地から厳選された大量の酒米が運び込まれます。
2.精米
玄米の表面を削っていきます。
杜氏や蔵人が来る1ヶ月ほど前から精米機を動かしはじめ、1月の初旬まで稼動します。
3.精米後
磨きあがった酒米は、『枯らし』と言って空気中の湿度によって
乾いた状態から水分を徐々に取り戻します。
糠は赤糠、中糠、上糠、特上糠と精米段階によって分類され、
赤糠、中糠は養鶏業で餌として利用されています。
4.蒸し(ふかし)
酒米は水で洗い、浸漬(水を吸収)します。
酒米の種類や特性、仕込む酒の種類によって米に吸収させる水分の加減が違うため、
それぞれに合う適切な仕上がりになるように浸漬時間を管理します。
浸漬後、釜の上にのせた甑(こしき)に米を置き蒸します。
甑の中に置く酒米の量は最大で約1t。
夜明け前
東の空が白みはじめます。
中天にはまだ月が残り、青白い光を投げかけています。
初冬の未明、勝浦といえども外気温は非常に低く、吐息も真っ白になります。
霧のような蒸気と蒸し米の香りが辺りに漂いはじめます。
1時間ほど経つと甑を覆っていた布が大きく膨れ上がります。
5.放冷
蒸米を放冷機にかけて粗熱を取ります。
手作業によって蒸米を丁寧にほぐします。
麹米や醪、酒母など用途によって蒸米の品温も異なります。
蒸米を布で受け、製麹室(麹室)へと運びます。
6.麹づくり
麹室(こうじむろ)に運ばれた蒸米は杜氏の手により種麹(麹菌)が振られます。
麹室で約2日間の工程を経て造られた麹米は、水、酵母、蒸米、乳酸とともに
つぼ代(酒母用のタンク)の中で酒母(酛・もと)が造られます。
7.仕込み
仕込みは1つのタンクで3段階の工程にわかれています。
1段階を添掛け(そえがけ)と呼び、酒母、水、麹米、蒸米、をあわせます。
2、3と段階が進むにつれ、蒸米と仕込み水の量も増えます。
普通酒であれば大仕込みと言って、白米で最大1850キロを大きなタンクで20日程度の発酵(醸造)の過程・醪(もろみ)期間を経てしぼられます。
大吟醸仕込みになると小仕込(こじこみ)と言って、白米で600キロを大吟醸用の小さめのタンクで、ひと月程の醪期間を経てじっくりと醸されしぼられます。
8.火入れ、貯蔵
しぼられた新酒は、おり引き、濾過の過程を経て火入れ(熱殺菌処理)を行い、
蔵内の貯蔵タンクの中で出荷されるまでの期間に徐々に熟成されます。
生酒は、サーマルタンクで低温貯蔵されたり、瓶詰めされて冷蔵管理されます。
9.瓶詰め
洗瓶後にお酒を詰めます。
瓶に詰めたお酒は、光を通して厳重にチェックします。
チェックを無事に通過した酒瓶は、ラベルを貼って出荷の時を待ちます。